魅力ある職場づくり 雇用管理改善推進事業 事例 その1

企業名 A事業所
所在地 大分県
業種 建築・土木
従業員数 10名以上〜50名未満

1.既に企業が取り組んでいる雇用管理制度
(1)評価・処遇制度関係
 ・平成25年に評価制度を作成し、実施してきたことにより、意識の改革が進んできた。
  賞与にも反映させているが、昇任等への処遇には反映されていない。
  現在はグループ会社への適用を求められているが、実施できていない。
 ・評価項目は3段階評価で点数化し、技術スキル、工事の結果が優秀、いろんな工事に対応できる等々を
  設定している。

(2)研修体系制度関係
 ・新入社員は、採用後半年以内に県建設業協会主催の基礎研修を受講させている。(技術職のみ)
 ・役職者は、支部建設業協会主催の役職者向け研修や各種セミナーを受講させている。
  また、技術職に対して、技能教育センターの年20時間の研修を受講させている。
 ・現在は実施していないが、中堅職員や管理職員を対象とした、外部講師を招いての研修(20時間)を
  実施していたこともある。
 ・業務に必要な技術免許の取得費用やその他の研修に関して必要な費用は、会社が全額負担している。

(3)健康づくり制度関係
 ・法定の年1回の健康診断を全員受診
 ・事務所内での全面禁煙による受動喫煙防止対策を実施している。

(4) 休暇・労働時間制度関係
 ・1年単位の変形労働時間制を採用し、1日7時間30分、週40時間以内としている。
 ・残業はほとんどないが、必要な場合には手伝い・応援体制をとっており、固定残業手当を支払っている。
 ・週休2日制になった場合、現場は5日で対応できるが、技術職はあと1日のデスクワークが残るので、
  完全実施は難しいのではないか。

(5) 業務管理・組織管理・人間関係制度関係
 ・タイムカードがなく、業務日報により所属長の現認確認をしている。
 ・入社1年目の社員以外は、有資格者であるため、仕事の進め方についてはできる限り本人の要望を聞き
  入れている。
 ・役職者はラインにより各種の情報を共有している。
 ・表彰制度を設け、模範的人物、模範的な工事に対して表彰している。

(6) 福利厚生関係
 ・会社全体の慰安旅行(2年に1回)や忘年会、花見、ゴルフコンペ、自転車競技への参加に補助を行って
  いる。
 ・勤労者サービスセンターに加入し、各種サービスを利用させている。


2.事業主の雇用管理改善を通じた魅力ある職場づくりに対する意識について
 ・コンプライアンスは当然のことであり、とりわけ従業員の雇用環境については、できるだけ安心して働け
  る環境を整えることが、職場の活気につながり、仕事への意欲を高めると考えている。
 ・賃金制度においては、各種手当が定められているが、それぞれの内容が明確でない。
 ・評価は実施しているが、役割や給与にリンクしていない。
 ・求人募集の際に明示する給与ベースが低いので、一工夫が必要であり、採用が難しい。
 ・入社した後は、先輩や上司のサポートが手厚いので、居心地がいいと思う。
 ・社員に対しては、働きやすい職場環境をめざすため、休暇を積極的に取得するよう呼びかけたり、残業を
  しないように声をかけたりしている。


3.対象企業が抱える雇用管理上の課題
 ・近年、新規採用した従業員が退職してしまい、工事責任者・現場作業員とも人材不足であるが、新規人材
  確保ができないことが悩みとなっており、加えて、年齢が高い、人材不足
 ・ハローワーク等に求人を出しているが、反応が薄い
 ・新規卒業者や有資格者は大手の会社に行ってしまう
 ・雇用管理上改善できることがあれば、取り入れて新規採用・人材定着につなげたい
 ・そのため、従業員満足度を高めるための賃金制度を導入し、評価制度とリンクさせたい。


4.対象企業に提案した雇用管理制度
(1) 制度の概要
 ○人事考課・評価制度
  人事考課・評価制度は、キャリアアップのための職員研修・教育など事業所での貴重なマンパワーである
  職員の育成・確保の面で最も重要なポイントであり、賃金を決定する際にも参考となる。
  評価項目もおおむね適正な指標が設定されているが、ややもすると易きに流れ、厳格な運用が妨げられて
  いるので、それぞれの役割に応じた働き方を明確に示すことが非常に重要な要素となる。

 ○賃金体系制度
  賃金体系については、概ね制度化されているが、評価結果が反映されるものとは言い難いので「公平」な
  処遇制度の構築が求められる。
  また、賃金の中には定義が不明な手当があり、技術職と技能職とで支給基準が異なるものもあることから
  基準が異なるものは規程の中で明確に定める必要がある。固定残業手当の明確化も必要。
  いずれにしても、賃金制度をますます明確に、そして納得できるように決めることが求められている。

(2) 導入支援のポイント(提案理由、工夫など)
  賃金制度については、経営者が頭を悩ます課題の一つであることから、働き方の多様化等に合わせた制度
  の導入が必要である。
  ただし、賃金制度の改善は、「衛生・維持要因」(ハーズバーグの動機づけ・衛生理論)の一つであり、
  単に従業員の不満がなくなるだけのものであるので、従業員の満足度を満たし、モチベーションの維持・
  向上を図るためには、「促進要因」を充実することが必要であることを説明した。
  そのためには、従業員それぞれの役割に応じた働き方ができているかどうかを公平に評価できる仕組みを
  整える必要がある。


5.導入支援の経過、結果
(1) 提案した雇用管理制度の導入状況
  賃金制度については、賃金規則により明文化されており、評価も実施されている。
  しかし、評価は行われているものの、役割が明確にされていないので、今後はキャリアパスモデル(国土
  交通省)や職業能力評価基準(中央職業能力開発協会→日本能率協会)を活用し、能力評価の仕組みを
  つくる必要がある。
  なお、継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について説明し、第二種計画認定申請書の労働局
  への提出を提案した。
  固定残業手当については、平成30年1月から施行される改正職業安定法の概要に基づき、固定残業手当の
  内訳を明示する必要があることを説明した。

(2) 助成金活用状況
  建設関連の研修に関しては、建設労働者確保育成助成金が活用されている。
  その他の助成金については、厚生労働省のパンフレットを利用して、全般的な解説を行い、積極的に利用
  することを勧めた。


6.対象企業の今後の取り組み計画、課題
  評価制度については、前提としてキャリアパスモデルの作成を行った上で、それぞれの役割・責任等を
  明確にしていく必要がある。
  評価方法については、現行の評価ランク(5段階評価)では「中心化傾向」が現れやすいので工夫する
  必要がある(4段階評価に変えるなど)


7.事業主からの感想(事業主や従業員の意識の変化など)
  今回は、従業員の賃金制度改善の方向性について助言を受けたことにより、役割や働き方の違いによる
  制度をつくる必要があることを理解した。
  従業員区分ごとのキャリアパスが制度化できる前提が整ったことによって、従業員のモチベーションが
  高まることで、生産性を向上させ、その成果を処遇に反映させることができれば、社業の発展につな
  がることが期待できる。


8.雇用管理アドバイザーの感想
  今回の支援は、賃金制度がテーマであったが、既にかなり練り込んだ検討が行われており、基礎的な
  助言は不要であったが、一部で誤解されている点もあったので、おさらいを兼ねての説明となった。
  特に、勤怠については、事業所内ではなく、事業所外で仕事をしている従業員もおり、労働時間の把握
  が困難との話もあり、今後は、どういう形で勤怠の把握をしていくべきか、それに対する賃金をどう
  するかが課題と考えられる。本事業所においては、積極的な改善意欲が見られるので、必ず本支援を
  効果的に活用していただけると考えている。




魅力ある職場づくり 雇用管理改善推進事業 事例 その2

企業名 B事業所
所在地 大分県
業種 建築・土木
従業員数 10名以上〜50名未満

1.既に企業が取り組んでいる雇用管理制度
(1)評価・処遇制度関係
 ・従業員の評価制度は明文化していない。
 ・キャリアパス的なものがあり、評価制度はあるが、役職者の役割と権限が明確にされていないため、
  昇給・昇任等の処遇に反映できていない。

(2)研修体系制度関係
 ・入社後、研修期間を設け、Off-JT・OJTで基本的知識、技能を身に付けさせ、1週間以内に外部研修
  (NCBのビジネスマナー、1日コース)を受講させる。また、主任研修、課長研修などの管理職研修を
  トーマツ(監査法人)に依頼し、実施している。
 ・業務に必要な技術免許の取得費用、その他の研修に要する費用は、会社が全額負担
 ・「けんせつ小町」(女性技術者、「ドボジョ」)が2人おり、さらに1人増える予定。グループ会社も
  含め女性が24〜25名おり、女性だけの研修を開催し、自慢大会やコミュニケーション能力を磨いている。
 ・年1回の安全大会を安全週間の土曜日に開催、今回は「腰痛予防」をテーマに開催した。
 ・その他、外部研修としてCPDSの義務研修やスキルアップのための特殊技能教育センターでの講習を会社
  負担で行っている。

(3)健康づくり制度関係
 ・法定の健康診断については、全員受診(血圧、肝臓、健康指導、産業医による二次検診等)
 ・胃カメラ(自費)、大腸がん(便)、眼圧については、会社に情報が来ないので、従業員の健康状態の
  把握ができていない。
 ・健康診断時にストレスチェックを行っている。
 ・その他の取組として、朝礼時のラジオ体操、万歩計・血圧計の配布を行っている。
 ・喫煙については、事務所内禁煙だが、現場事務所は喫煙可。
 ・衛生委員会で、現場の安全活動について審議している。

(4) 休暇・労働時間制度関係
 ・1年単位の変形労働時間制を採用し、週40時間以内となるよう、年間休日カレンダーを作成
 ・年次有給休暇は、一人平均12日程度を取得(1日または半日単位での取得)
 ・残業は多くないが、30時間程度の固定残業手当を支払っている。また、月1回のノー残業デーを実施して
  いる。
 ・グループ会社の工場、職種により長時間の残業が発生しており、特別条項付の36協定を届け出て対応
  している。
 ・1年単位の変形労働時間制を採用しているものの、労働時間が偏らないように調整しているが、従業員に
  対しては、働きやすい職場環境をめざすため、休暇を積極的に取得するよう呼びかけたり、残業をしない
  ように声をかけたりしている。昨年は、年休の取得を働きかけた。

(5) 業務管理・組織管理・人間関係制度関係
 ・次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、平成27年に基準適合一般事業主
  (子育てサポート企業)として認定された。
 ・新卒社員へのメンター制度を導入し、相談相手がいないことによる離職防止に役立っている。入社して
  半年後にメンター同席の上、半年間の発表会を行い、その後2年間はしっかり指導しながらの人材育成
  を行っている。
 ・工事結果などに関して優良な成績を残した社員に対し表彰を行っている。

(6) 福利厚生関係
 ・従業員によるカートのチームを結成し、サーキットに出場した。
 ・全員参加の懇親会(夏・新年会)を開催するとともに、親睦を図るため部署単位で行われている忘年会、
  新年会などに資金援助(使途自由)している。また、旅行(一部会社負担)を実施している。
 ・慶弔規定により、出産祝い、結婚祝いを贈呈



2.事業主の雇用管理改善を通じた魅力ある職場づくりに対する意識について
 ・企業理念は、

  (1) お客様に大いなる感動を届け、先陣を駆けて、魅力溢れる社会基盤を創る
  (2) 心温かなものづくりとサービスを提供し躍動的な未来を創る
  (3) 安全・安心・信頼を勝ちとり、自らが誇れる100年企業を創る

  これを実現するため、

  @ 敢えて高い目標を掲げ、必ず達成する
  A 仕事に誇りと責任を持ち、評価に値する結果を出す
  B 情報を共有し、スピードを持って行動する
  C 謙虚に感謝の心を持ち、社会人としてのマナーを守る
  D 自己研鑽に努め、後継者を育成し技術の伝承を図る

  を行動指針とし、過去にとらわれず、前を向いて、全社員が一丸となって、自らの事業領域を切り拓いて
  いくべく、事業に取り組んでいる。

 ・そのためには、従業員のキャリアアップやスキルアップを支援するとともに、業務での活躍を期待してい
  るところであり、若年者から高年齢者に至るまで、それぞれの役割に応じた活躍を期待しているところで
  あるが、今後はさらなる支援策の検討も必要になっている。
 ・コンプライアンスは当然のことであり、とりわけ従業員の雇用環境については、できるだけ安心して働け
  る環境を整えることが、職場の活気につながり、仕事への意欲を高めると考えている。



3.対象企業が抱える雇用管理上の課題
 ・従業員の年齢が高い上に、人材不足の状態なので、新卒採用に努めている。
 ・ハローワーク等に求人を出しているが、反応が薄い。
 ・「けんせつ小町」をしっかりと育成できる環境整備が必要。



4.対象企業に提案した雇用管理制度
(1) 制度の概要
 ○人事考課・評価制度
  人事考課・評価制度は、キャリアアップのための職員研修・教育など事業所での貴重なマンパワーである
  職員の育成・確保の面で最も重要なポイントであり、賃金を決定する際にも参考となる。
  また、技術職・技能職の働き方の違いからくる処遇について説明できる制度の構築も、モチベーションの
  維持・向上には重要な要素となる。

 ○賃金体系制度
  賃金体系については、資格取得によるキャリアアップと役割・責任に対応した賃金をリンクし体系の整備
  が求められる。
  固定残業手当の明確化も必要。
  賃金の決め方は、経済社会の変化とともに次第にかわってきている。 世の中の動きに応じて、賃金制度
  を見直していくことが必要であり、そうした中で注目すべきことは、賃金制度をますます明確に、そして
  納得できるように決めることが求められている。

(2) 導入支援のポイント(提案理由、工夫など)
  教育・研修はかなり充実しており、キャリアパスも明文化はされていないが、ステップアップの体制は
  整っている。
  しかし、評価は行われているものの、評価結果が処遇とリンクしていないので、今後は、評価制度を導入
  し、処遇とつなげることにより、従業員のモチベーションの向上、生産性や施工管理の向上につながって
  いく可能性がある。
  経営層も、人事考課・評価制度及び処遇体系制度の導入に積極的な姿勢を見せていることもあり、この
  機会を利用して提案することとした。


5.導入支援の経過、結果
(1) 提案した雇用管理制度の導入状況
  教育・研修はかなり充実しており、キャリアパスも、明文化はされていないが、ステップアップの体制は
  整っている。
  しかし、評価は行われているものの、評価結果が処遇とリンクしていないので、今後は、評価制度を導入
  し、処遇とつなげることにより、従業員のモチベーションの向上、生産性や施工管理の向上につながって
  いく可能性がある。
  なお、継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について説明し、第二種計画認定申請書の労働局
  への提出をお薦めした。
  固定残業手当については、平成30年1月から施行される改正職業安定法の概要に基づき、固定残業手当の
  内訳を明示する必要があることを説明した。

(2) 助成金活用状況
  建設関連の研修に関しては、建設労働者確保育成助成金が活用されている。
  その他の助成金については、厚生労働省のパンフレットを利用して、全般的な解説を行い、積極的に利用
  することを勧めた。
  なお、各種研修は活発に行われているので、今後は人材開発支援助成金や職場定着支援助成金の活用が
  望まれる。


6.対象企業の今後の取り組み計画、課題
  従業員のうち、技術職、技能職に対する処遇が異なっているものの、どこにもその違いが明記されて
  いないため、働き方の違いからくる不同一の処遇が説明できていない。
  そのため、今後は、キャリアパスの考え方を踏まえた処遇制度の構築が必要となっており、役職者の
  責任と権限がキャリアパスで明確にする必要がある。


7.事業主からの感想(事業主や従業員の意識の変化など)
  今回の支援は、これまで着手できなかった従業員の労務管理の方向性や研修・教育の体系整備について
  めどがたったことなど、働き方の違いに着目した労務管理を進める必要があることを理解した。
  従業員区分ごとのキャリアパスを制度化し、従業員をより積極的に活用することで、生産性を向上させ、
  その成果を処遇に反映させることができれば、互いの信頼もより高まることが期待できる。
  事業所の基本理念、基本方針をしっかりと実現できるよう、従業員の力を結集させ、新しい事業展開に
  つないでいきたいと考えている。


8.雇用管理アドバイザーの感想
  今回は、従業員の教育・研修がテーマであったが、既にかなり手厚い研修が行われており、今後は、
  管理職員への労務やマネジメントの研修が必要である旨を説明した。
  関連会社もいくつかあり、事業の統一的運用や経営層・管理職の就業規則等に対する理解度を同じ
  レベルに維持することはとても大変なことであるが、本事業所において規律のとれた運用がなされ
  ている。
  本事業所においては、積極的な改善意欲が見られるので、必ず本支援を効果的に活用していただける
  と考えている。

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